内田樹vs釈徹宗live対談『現代霊性論』──(3)麻雀コミュニケーション理論
皮切りは、内田さんの合気道のパートナーで、能の「土蜘蛛」を共に演じる予定であった佐藤さんが、練習中に鎖骨を骨折して…という話からだったのだが、それは省く。
話題を提供するためにいろいろとレジュメを用意されたという釈さんから内田さんへの質問で始まったのだが、その質問というのが、壮大な「麻雀コミュニケーション理論」とは何か、というウォーミングアップというかジャブという感じでスタートした。。
内田さんのブログでもしばしば登場する「麻雀」に関することで、因みに釈さんも甲南麻雀連盟(内田会長)の会員の一人であるらしい。
以下は、内田さんからの回答の要旨。
映画『チャーリーとチョコレート工場』の試写会に行ったとき、会場の97パーセントが女性だった。
似たような状況は、コンサートに行っても、バレエに行っても、映画館と同じに思える。
「なぜ男がいないのか」「男たちはどこへ行ったのか」「どこで何をしてるのか」という疑問を考えてみると、男たちが「連(つる)まなくなった」からではないか。
そして、その「連(つる)まなくなった」理由こそ、若者たちが 「麻雀をしなくなった」からではないかという「発見」に至る。
麻雀というのは、かなりの長時間、ときには三日三晩、4人の人間が卓を囲んで一緒に過ごす。
同じ場所で同じ時間をともに過ごすということは、そこにはおのずからコミュニケーションの場が生まれる、というのだ。
私は麻雀ができないので、その神髄(?)に触れることは難しいが、時の経つのも忘れるほどの魅力をもった遊びであることは十分理解できる。
思い出してみると私が麻雀をできないのは、学生時代、友人たちとの麻雀の機会はいくらでもあったはずだが、私がわざと「できない」ままにしておいたからだ。夢中になってのめり込んでいく自分が想像できたせいもあろうし、ありきたりな時間潰しに抵抗感を持つようなストイックさが(まだ?)あったせいかもしれない。
それはともかく、卓を囲む4人を、内田さんは一種の「多細胞生物」になぞらえる。
まるで頭が4つあるヒドラのような一体感が生まれるのだという。
卓の上では牌という記号でセンテンスを構成する、一種の言語活動が行われているので、参加者の口から出ているのは「言語」とはいえない無意識の世界が充満していることになるらしい。
この世界に身を浸していると、熱い湯につかっているような共生感がある、というのだ。
その共生感の話から、話が飛んで、その昔、日比谷野音で5万人が歌った「ワルシャワ労働歌」の一体感、高揚感に似ているという。
そして、デモ隊が出発するときの、強大な多細胞生物の一部に自分がなったような共生感にも似ているというのだ。
なるほど。その感じなら分かる。
それにしても、麻雀と「ワルシャワ労働歌」がこんなところでリンクするなんて、まるでミシンと蝙蝠傘が手術台の上で出会うくらいシュールだ。
確かに、麻雀をやりながらのコミュニケーションというのは、(私には想像するしかないが)独特のものがあるのかもしれない。
4人の人間が、これほど長時間にわたって同じ場所に座り続けるという状況自体が、他では考えにくいだろう。
しかも、最近の若者たちのように、集団でいても各自がケータイでピコピコとメールを打つような状況も、麻雀をやりながらでは無理だ。
牌を動かしながらできるのは、黙って(聞いて)いるか・喋るか、そのどちらかしかできないことになる。
このマエフリの話を紹介したのは、方法が麻雀かどうかは別にして「コミュニケーション・スキル」をトレーニングすることは、確かに重要なことに違いないと思ったことと、麻雀を知らない者として、改めて「麻雀、いいかもしれない」と少し(やってみようかという)興味が湧いたからでもある。
次回からは本論になる(はず)。
【内田樹関連記事】
2006年5月28日号「内田樹vs釈徹宗live対談『現代霊性論』──(4)科学主義と霊性」
2006年4月24日号「内田樹vs釈徹宗live対談『現代霊性論』──(2)こんにゃく問答」
2006年4月16日号「内田樹vs釈徹宗live対談『現代霊性論』──(1)」
2006年2月27日号「内田樹『知に働けば蔵が建つ』──(3)靖国問題」
2006年2月25日号「内田樹『知に働けば蔵が建つ』──(2)「日の丸・君が代」
2006年2月21日号「内田樹『知に働けば蔵が建つ』──(1)大衆社会とは」
2005年12月19日号「内田樹『街場のアメリカ論』」
2005年12月7日号「内田樹講演会『学びからの逃走・労働からの逃走』──(2)」
2005年12月2日号「内田樹講演会『学びからの逃走・労働からの逃走』」
2005年11月14日号「女人禁制と性同一性障害」
2005年10月14日号「内田樹・春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る──生きづらさの正体』
2005年9月9日号「内田樹「史上最弱のブロガー」」
2005年6月26日号「内田樹・名越康文『14歳の子を持つ親たちへ』」
2005年2月7日号「チアン先生はえらい !」
2004年12月28日号「キース・ジャレットの単音」
2004年11月9日号「身体感覚と時間のコントロールについて」
| 固定リンク












コメント
こんばんは、前フリが終わりそうで期待しています。
学生のころはマージャンはよくやりました。独特のコミュニケーションがその場から発生するのです。ヨット部の仲間たちや下宿仲間、喫茶店のマスターやその知り合い。打ち方にも性格が現れるので面白い。会社の同僚で会社の施設でも。
賭ける金は少しで、気晴らしと会話を楽しんでいました。
TalkMasterを手に入れてから2週間が過ぎた。マニュアルなしで80%私の必要とする機能が使えたから合格点である。
SDカードには、キースジャレットのケルンコンサートを入れてみた、このときはじめてマニュアルを探した。エンヤをいれて...
しまったぁ英語会話を聞く暇がない。
車の移動が多いためカーナビのVTR端子につなぐか、
カーナビのVTR端子には、モバイル放送(もばHO!)端末がついているし、たまにMPEG4のカメラもたまにつける。
SELECTORが必要だ。いえの中みたい。
使ってみて人間はリラックスする時間が必要なんだと思った。
警視庁に苦情を入れたとき待たされたが、キースジャレットと通信の本で有意義に過ごせた。うんうん使える。
車の中には、デジカメ1つ、MPEG4のAVカメラ3つ(オークションで4000円くらいで購入ドライブレコーダとしても使用)、ノートPCである。本も5冊入っている。読んでいる本のほかに。
いまは、少し落ち着いている。通信関係の本、JavaScript、90分で分かる宗教の読み方、主にこの3冊が平行読みの対象になっている。
さて「推定無罪」DVD-Rをみて寝よう。
おやすみなさい
投稿: クラッシュPG | 2006年5月27日 04:48
毎度です。
耳順を目前にして麻雀を初めて覚える、というのもなかなかでしょ?
カードでも似たようなルールのゲームがいくつかありますが、私はかなり強いようなのです。
なので、たぶん麻雀も強いはずと秘かに期待してるのですが…。(^^;)
TalkMaster II、2週間ですか。合格点だそうで、何よりです。
クルマの中がまるでFBIの移動基地みたいでスゴイですね。最近、皆さんそうなんでしょうか。
私はクルマをほとんど使わないので、カーナビも何もありません。音楽が聴けるだけですね。
『推定無罪』。日本の裁判所は「推定有罪」になってますね。
投稿: KAZE | 2006年5月27日 12:33
毎度です。マエフリも面白しろいので本文のほうも期待しています。
何にしても強いのは、いいことですね。マージャンにおいてはプラスマイナス0に最終的に持っていくようにしていました。きっと一緒に打っていた人たちは、私の腕をたいしたことないように思っていたかも知れませんね。
「90分で分かる宗教の読み方」は、さすがに90分では読めませんでした。宗教関係で5冊目の本ですが、ニュートラルなスタンスで簡単に解説してあり、いい本だと思いました。これで105円は得した気分になりますね。JavaScriptの本は、最初の25ページくらい読んでイメージがつかめたので途中でよすことに決めました。通信の本は、読み物でないので常時携帯し、暇なときの徒然に。
車は必需品というか消耗品(2万5千キロ/年)、日常のルーチンの中のスペースです。朝の1時間半の通勤はAMラジオ、帰りの1時間(帰りのほうが速い)を株価、外貨、ニュースや、CDに当てています。カーナビは必需品ですね。簡易ビデオカメラは仕事に役立っています。トランクにテープ式のデジタルビデオカメラがありますが、相手が構えてしまってあまり使いませんね。もうひとつFBI的な道具としてアマチュア無線機が2台あります。結構役に立ちます。ちょっと異常ですね。
「推定有罪」ちがった『推定無罪』見る前に眠りこけてしまった。再度挑戦。
投稿: クラッシュPG | 2006年5月28日 16:56
毎度、毎度です。
対談をかいつまんで要約するのは、至難の業ですね。(誰もやってくれなんて、頼んでないのに…)
論点を外しちゃいけないし、かといって面白さも伝えたいなんて欲張ると、とんでもないことです。
「そんなこと言ってないよ。論旨が違うだろ」ってクレームがついたら、どうしましょう。
宗教に強い関心をお持ちのようですので、面白い展開になるかもしれませんね。
聞けば聞くほどFBI仕様の移動基地じゃありませんか。ちょっと、やっぱり、フツーじゃないような…。
投稿: KAZE | 2006年5月28日 21:23