薬師院仁志『地球温暖化論への挑戦』
著者は「おわりに」のなかで、こんなことを書いている。
《なぜこんな本を書かねばならなかったのか、自分でもよく分からない。ただ、書かずにはいられなかった。そして、こんなに苦しい仕事になるとは、思っても見なかった。ともかく、私の仕事はこれで終わった。これから先、もう二度と地球温暖化問題に関して発言することもないだろう。瓶に詰めた手紙を海に流すように、今、私はこの本に別れを告げている。》
あとがきとしてはかなり奇妙なものだと思う。著者の真意は知る由もないが、よほどの苦渋があったのだろうか。
著者は社会学が専門らしく、《自然科学の素人》という意味の断りが何度も登場する。
その《素人》を納得させられないような「科学的説明」に、根本的な疑義を提出している。
そして、その疑義の根拠となる資料を丁寧に紹介して、「自明」だとされていることが少しも「自明」ではないことを明らかにしていく。
私自身がそうだったので大変よく分かるのだが、「地球は温暖化している」=その原因は「二酸化炭素排出による温室ガス効果である」と、多くの人々は「信じている」。有名らしい科学者が口を揃えてそう言っているのだから、間違いないのだろう、と。それ以外の根拠があるだろうか。
その理由を、自分で説明できる人などたぶんいない。マスコミや科学者が「みんなそう言っている」のだから、「疑う」ことさえ誰もしない。
著者は、科学的根拠を確かめもしないで「盲信」するのは、もはや「信仰」の領域であって「科学」ではない、という。
たしかにその通りであろう。
カルト宗教の教祖の「アルマゲドン」を「盲信」する信者と選ぶところがない、と。
《今日注目されている地球温暖化問題に関して、間違いなく、最も権威ある書物の一つである》『地球温暖化の時代』の著者であるスティーブン・シュナイダーは、《大勢の論調が地球寒冷化説であった頃、その代表格であった》というのも呆れるが、両方の時期を通じて「原子力発電の推進」には積極的で、「遺伝子組み換え作物の開発」にも積極的であるというのも、もっと呆れる。
著者は、地球温暖化という「アルマゲドン」のシナリオを描いているのが気象予測用のコンピュータ・シミュレーションであることを最初に取り上げる。
当然そのプログラムをつくるのは人間なので、プログラムの作り方でシミュレーションはどのようにでも変わる。
しかも、翌日の天気を予測することさえ難しいコンピュータが、長期予測なら「正確さが増す」などということはありえないではないか、という著者の主張は納得できる。
その困難さは、コンピュータの能力の問題ではなくて、「気象」というあまりにも複雑で無限な自然現象のデータを数値化してコンピュータに入力すること自体が不可能だからだ、という。
二酸化炭素の人為的な排出が原因であれば、産業革命の時代から少しずつその量が増えて温暖化が進んでいなければならない道理だが、実際の気象記録は、まったくそのようには変化していないこともデータで紹介されている。
温暖化によって南極の氷が溶けて海水面が上昇する…という話もよく聞くが、温暖化すると水蒸気が増えるために南極の降雪量が増え、たとえ南極の気温が仮に10度C上昇したとしても、もともとの気温が低いので氷が溶けることはなく、かえって氷雪面積は増加していることもデータで明らかにし、《氷原や雪面の占める割合が大きければ、日光が撥ね返される率も高くなり、地表に吸収される熱も小さくなる》ため、コンピュータにプログラムされている「アルベド・フィードバック(温暖化増幅過程)」の前提そのものが間違っている可能性も著者は指摘している。
著者は二酸化炭素の増加によって温暖化がすすむのではなくて、《寒暖の変化がまず先に起こり、それに連れて大気中の二酸化炭素濃度が変動する》というのが順序であることを明らかにしている。
そして、二酸化炭素が増えても温室効果を増すほどのエネルギーを今以上に吸収することはもはやできず、地表の植物にとっては現在の5倍くらいの二酸化炭素濃度が必要なのだそうで、《緑色植物は、言わば慢性的な二酸化炭素欠乏状態に置かれている》らしい。
この他にも(池田の著書でも紹介したが)太陽の黒点活動との関連や、地磁気との関連など多くの問題が指摘されているが、科学者からの正面切った反論はまだ出されていないようだ。
著者はあえて多くのページを割いてはいないが、これだけ杜撰で恣意的な気象予測が「まるで疑う余地のない自明のこと」のようにまかり通っているのは「巨大な利権」が裏で動いているからのようだ。
まず原子力発電の正当化と推進、海面上昇という前提で岸壁を3.5メートルかさ上げするための費用計11兆5千億円規模の公共事業、「炭素税」なる名目の増税、「排出枠取引」という市場での「商品価値」…、要する「二酸化炭素の人為的増加による地球温暖化説」は巨大なカネを生み出す金の卵というわけだ。
【関連記事】
2006年6月1日号「池田清彦『環境問題のウソ』」
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コメント
「地球は温暖化している」=その原因は「二酸化炭素排出による温室ガス効果である」と言われてから、国別の総量規制が始まりましたが、私は全くのナンセンスだと考えます。
自然界では、莫大な二酸化炭素を太古の昔から排出し続けている火山の噴火などがあります。また、人間が関与して排出するものの中に、戦争で使われる弾薬や爆弾とくに核爆発などの二酸化炭素の排出量は想像を超えるものです。個人や企業の工場群が発生する二酸化炭素の量も減らすべきですが、全体から比較するとどの程度の削減になるのでしょうか?とても疑問に思います。
投稿: 田舎の住人 | 2009年5月29日 16:39
田舎の住人さん>コメント有り難うございます。
地球が温暖化の傾向にあることは間違いなさそうですが、その原因が「温室効果ガス」にあるという説は誰も証明していないのに、まるで自明の事実であるかのように(勝手に誰かが)決めて、疑うヤツは非国民だと言わんばかりの大合唱ですね。
一方的な情報だけを意図的に流し続けるやり方は、もう60年以上も前に懲りたはずなのに、マインドコントロールというのは恐ろしいものです。
投稿: KAZE | 2009年6月20日 11:24