奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい──100円でつくる万能「情報整理ノート」』
こういう本に千何百円もの投資をするかどうかの決め手は、私の場合、「自分が試行錯誤を繰り返してきたやり方を、大きく変更しなければならないほど素晴らしいアイディアが一つでも二つでもあるかどうか」ということに尽きる。
あるいは、「やはり自分のやり方を超えていない」と確信するためとか。
著者が提案する「情報を1冊のノートにまとめる」という考え方は、私が辿り着いた結論と同じであり、まったく異論はない。
違っている点はノートのサイズだけであり、著者は「A6ノート」を推奨し、別の著者は「A5バインダー・ノート」を推奨し、私の場合は「B6バインダー・ノート」(バイブルサイズではない)がいちばん使いやすいという、いわば好みと必要性の領域になる。
私が「A6ノート」を愛用していた時期の最大のメリットは「ポケットに入る」という点だった。それがすべてだったと言ってもいい。
バインダー形式か、綴じ合わせた形式か、という点もあまり本質的な問題ではない。
バインダー形式のリフィルを、バラバラのカードとして処理するのでなければ綴じ合わせたノートと同じように時系列に並べておけばいいだけのことだからである。
バインダーの利点としては、後から追加したいページをいちいち糊で貼らなくても穴をあけるだけで綴じられることくらいだろう。
これも以前に書いたことだが、私が「A6ノート」でいちばん難問だったのは「スケジュール(記録)」をどうするかで、結局「スケジュール用の手帳」をもう1冊別に持つ以外の方法を見つけられなかった。
なので、この著者が「スケジュール」をどう解決しているのか、最も注目して読んだ。
しかし、著者が提案している方法は、「スケジュール表」を別にプリントアウトしてA6ノートに鋏んでおく、というものである。
《A4用紙に両面印刷し、四つ折のA6サイズに折り畳み、端を少しハサミで切って、2章で紹介した「巻末ポケット」に入れています。これで八週間分の予定を書き込むことができ、ノートとセットにして常に持ち歩きます。》《スケジュールシートの表(四週間)を使い切ったら、裏は使わずに次のシートに移ります。この時点で、裏に書き込んでいる予定は新しいシートの表に転記。使い終わったシートはノートに貼っておきます。》(91〜92ページ)要するに、A4サイズで1ヶ月分が一覧でき、来月の分は裏側に書き込んで、新しい月が始まる時にその予定を転記するというのである。
これで十分足りるという方はいいと思うが、私にとって必要だと思うスケジュール表は、これでは無理だ。
(1)まず、書き込むスペースが少なすぎる。かといって、シートのサイズを大きくしたりページ数を増やすと、さらに使いにくくなるだろう。
(2)A6サイズに折り畳んだ紙を出してきて、いちいち広げて見なければならないのも難点である。
(3)表裏合わせても2ヶ月分の予定しか書き込めないのもあまり実用的ではない。
(4)スケジュール表を1ヶ月ごとに転記するというのは、面倒なだけでなく転記ミスの原因になりはしないか。
というわけで、著者の提案は残念ながら私が期待した「解決策」とはほど遠く、「すべてをA6ノートに集中させる」ための無理矢理の提案に思える。
結局、スケジュール表をA6ノートに合体させるのは、まずサイズに無理があり、時間の流れの速いメモ用ノートと、ある程度の時間のスパンを一覧する必要のあるスケジュール表との合体にも本質的な無理があると思う。
その点では、B6バインダー・ノートは(A5バインダー・ノートでも同じだが)、無理なく両方を合体させることができる。
もう一つの提案は、時系列に並んだ情報を「検索」するために、パソコンの機能を活用するというものだ。
時系列に雑然と並んだデータから必要な情報を検索するにはおそらくこの方法しかあるまい。
だが、こんな面倒な作業をコツコツと「持続可能」な人はあまり多くないのではないか。少なくとも私には無理だと思う。
それに、私の場合わざわざ入力して検索しなければならないほどの情報が詰まっているわけでもないし。
これも人によるだろう。
私の場合、B6ノートが1年分になると、1冊にまとめてしまう。
厚さ10センチ近くもある巨大なB6ノートができあがるのだが、そこまでで作業は終わる。
スケジュールのリフィルは別に数年ごとにバインダーで綴じてあるので(そのほうがレファランスしやすい)、この巨大ノートに綴じられているのは「1日1ページ」の日記を中心に毎日のメモなど雑然としたあらゆるデータが集まっていることになる。
検索するまでもなく、この巨大ノートをパラパラとめくっているだけで、写真あり切り抜きありプリントアウトあり…と、一種のスクラップブックになっている。
ということは、言葉を換えれば「どうでもいいことばかり」がこのB6ノートには詰まっている、ということでもある。
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