2009年10月19日

室井尚『タバコ狩り』

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「魔女狩り」に模したらしいなかなか挑発的なタイトルだが、内容は「禁煙ファシズム」論者ほどにはヒステリックではないし、同意できる点も、同情したくなる点もある。
だが、それ以上に「喫煙者は本当にイジメられている被害者なのか」という疑問は最後まで解けない。

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2009年5月16日

三村忠史・倉又俊夫 (NHK「デジタルネイティブ」取材班)『デジタルネイティブ』

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この本に描かれているプロジェクト番組を、たまたま最後の5分間程度を観た。
番組の内容が分からなかったのでよけいにそう思ったのかもしれないが、この「デジタルネイティブ」という言葉に引っ掛かった。
良い意味の引っ掛かりではない。胡散臭い印象を持ったのである。
たまたま本屋で見つけたので、私の感じた胡散臭さの正体を見極めたくなって読んでみた。

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2008年1月13日

香山リカ『なぜ日本人は劣化したか』

Books

この本を読んでいて、去年観たテレビのことを思い出した。
そのテレビ番組は、9月27日放送のNHK『クローズアップ現代』で、テーマは「手軽な文学? ケータイ小説」。
作者と読者の距離が近い「ケータイ小説」に人気があり、書籍にまとめられたものもベストセラーになっているという。
ワンセンテンスが、あのケータイの小さな画面に長くても2、3行に収まり、ほとんどが会話で(それも顔文字・絵文字だらけ)、説明文はほんのわずか。「説明文や描写はないほうがいい」という読者の声を聞いて、思わず「アホ?」という失礼な言葉を思い浮かべてしまった。

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2007年12月16日

藤原智美『暴走老人!』

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芥川賞作家であるらしい藤原智美の小説は読んだことがないのだが、ときおりテレビで耳に挟んだ彼のコメントは、作家らしい言語感覚の冴えが感じられ、触発されることが多かった。
曰く「若者言葉の共食い現象」、曰く「情報断食」…。
だが、ベストセラーとなっているらしい『暴走老人!』に限れば、読む前に聞いていた著者のエクスキューズと相俟って、読んでみてさらに違和感は強まり、残念ながら著者自身が「暴走」していると思わざるを得なかった。

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2007年11月24日

浜井浩一・芹沢一也『犯罪不安社会──誰もが「不審者」?』

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「思い込み」というのは恐ろしいことだ、とこの本を読んで改めて教えられた。
「思い込み」というのは、本人が自分で「思い込み」だという自覚を持っていない。
「凶悪な犯罪が激増している」というのも、単なる「思い込み」であることを著者たちは具体的なデータをあげて証明していく。
著者の一人浜井は、法務省出身で刑務所にも勤務した経験があるだけでなく、『犯罪白書』の執筆者であり『犯罪統計入門』の編著者でもある、いわば犯罪統計のプロである。そのプロが、犯罪統計資料を駆使しながら「根拠のない不安」を煽る行政の意図を明らかにしていく。

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2007年10月31日

香山リカ『老後がこわい』

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「老後」という言葉には思わず反応してしまう私であるが、この本を読むとビックリするような現実に目を開かれる。
1960年生まれの著者は、《2006年7月現在46歳》とのことで、《「自分の老後」など想像するのも恐ろしいのだが、この際、覚悟を決めて一度だけ考えてみる》(18ページ)ことにしてこの本を書いたという。
「こわい」「恐ろしい」というのは、情緒的な反応と受け取られるかもしれないが、実はそんなものではない。
著者自身がこれまで体験したさまざまなことがらについて述べながら、個人的な条件だけでなく「制度」や社会的な「差別構造」の問題までその「恐ろしさ」の本質に迫ろうとしている。

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2007年5月27日

日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』──(1)「刑法39条」

Books_17

一昨日も横浜で、2歳の女の子が見ず知らずの29歳の女に背中から果物ナイフで刺され、腎臓に達する重傷を負うという痛ましい事件が起きたが、この本で取り上げられている数多くの事件も、これに劣らずひどいものばかりだ。
こういう事件をどうすれば防ぐことができるのか、という問題と、殺人や傷害や放火などを起こした犯罪者をどのように裁くか、という問題があるが、この2つは別々の問題ではないと著者は言う。
つまり、しかるべき刑罰も責任も問われないまま、凶悪な犯罪者が「野放し」になっている現実があるというのだ。

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2007年2月16日

日垣隆『知的ストレッチ入門──すいすい読める 書ける アイデアが出る』

Books_10

この著者の本を読むのはこの本が初めてだったが、大変面白かったので、その後同じ著者の本を数冊読んだ。
それぞれについてはまた改めて取り上げてみようとは思うが、著者についてより詳しく理解した上でこの本を読み返してみると、より一層説得力が増した。
「知的生産の技術」には、それ自体を自己目的化してしまう「ヲタ」な側面があるのだが、その技術が本物かどうかは出来上がった「製品」のクオリティによって見極められることも確かだろう。
著者が提唱する「技術」は、生産された結果としての「製品」のクオリティが「技術」を裏付けている確かさがある。

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2007年1月 3日

伊東乾『さよなら、サイレント・ネイビー──地下鉄に乗った同級生』

Books_8

著者も、この著書のこともNHK『週刊ブックレビュー』のゲストとして招かれたのを見て初めて知った。
ブカブカの白いニットキャップに真っ黒なサングラスで登場し、「作曲家・指揮者」とテロップが流れ、物理学専攻の東大助教授だと知ると「何者?」というインパクトが強かった。しかも、「第四回開高健ノンフィクション賞受賞作」のこの本が、オウム真理教の地下鉄サリン実行犯となった同級生の話だと知ると、ますます訳が分からなくなった。

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2006年11月25日

竹内一郎『人は見た目が9割』

Books_16

かなりよく売れている本らしく、私の持っている本も初版から4ヶ月経っているが、もう既に16刷になっている。
タイトルが売れ行きを左右するという編集者の目論見が成功している例であろう。読んでみたくなる表題である。
《理屈はルックスに勝てない。》という帯のキャッチコピーも、なかなかに挑発的なインパクトがありそうだ。

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2006年11月12日

鷲田清一『老いの空白』

Books_15

著者の肩書きがいつの間にか「大阪大学副学長」となっていて、(どんな事情かは知らないが)よせばいいのに、と思う。
だいぶ以前の夏の暑い日、梅田のジュンク堂で著者をお見かけしたことがあった。
汗っかきらしく、上着(コムデギャルソンであったかどうかは確認できなかった)を脱いで、汗を拭き拭き急いでおられるようだった。
そんなことはどうでもよろしい。『老いの空白』である。

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2006年10月 8日

原田正治『弟を殺した彼と、僕』

Books_14

この著者のことは、新聞記事で初めて知って以前の記事(2005年6月10日号)で取り上げたことがある。
だが、この本のことはつい最近まで知らず、ようやく読んでみることになった。
新聞記事だけでは分からなかった多くのことが、(当たり前だが)本を読んで改めてよく分かった。

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2006年10月 1日

斎藤環+酒井順子『「性愛」格差論──萌えとモテの間で』

Books_13

今や流行語となった感のある「格差」に「性愛」とくればかなり刺激的なタイトルで、思わず読みたくなってしまう対談ではないか。
斎藤環はテレビでもよく顔を見る精神科医(1961年生)であり、酒井順子は『負け犬の遠吠え』で話題になったエッセイスト(1966年生)であるが、残念ながらまだこの本は読んだことがない。
かなり期待して読んだのだが、私の読み方が不十分なのか、タイトルほどには刺激的ではなかった。(期待し過ぎ?)

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2006年9月 8日

猿谷要『アメリカよ、美しく年をとれ』

Books_12

1923年生まれで今年83歳になった著者を、アメリカ研究の第一人者と呼ぶことに誰も異存はあるまい。
しかも、アフリカ系黒人や先住民ネイティブアメリカンに対する虐殺と差別の歴史にいちはやく着目した歴史家でもある。
その著者が、40歳を過ぎてから夫婦で暮らしたアメリカでの生活や旅行のようす、出会った人々とのエピソードがこの本の大半を占めるのだが、その物語は、生きたアメリカ現代史と呼ぶに相応しい。

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2006年9月 2日

小阪修平『思想としての全共闘世代』

Books_11

こういうタイトルの本を見かけると、読みたいような、読みたくないような、妙な気分になることが多い。
たまたま書店で目にとまった本でも、手にとってしまうともう戻すことができず、読んでみようかということになる。
この本もそういう本の一つになった。
「団塊世代」という言葉は今やビジネス・チャンスの問題として語られることが多いが、さすがに「全共闘世代」という言葉にはもう少し別のニュアンスが込められていて、ますます私の反応はアンビバレントなものになる。

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2006年8月12日

吉田満(保阪正康編)『「戦艦大和」と戦後──吉田満文集』──(1)『戦艦大和ノ最期』

Books_9

吉田満『戦艦大和ノ最期』(2004年4月7日号)をもう一度読み直したかったのだが、その本が見当たらず(よく行方不明になる(^^;)、同じ本をもう一度買うのもどうかと思っているときにこの本を見つけた。
しかも、この本には『戦艦大和ノ最期』だけでなく、この本が出版されてからあと、56歳で亡くなる絶筆までのいくつかのエッセイがおさめられていて、著者が《戦争肯定、軍国主義鼓吹の文学である》という批判に対して悪戦苦闘しているようすを初めて目にすることができた。
どこをどう読めばそんな批判になるのか、今から考えると不思議な気もするが、それが戦後「進歩派」の変わり身のはやさなのかもしれない。

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2006年7月19日

薬師院仁志『地球温暖化論への挑戦』

Books_7

前に取り上げた池田清彦『環境問題のウソ』では、「ダイオキシン問題」「外来種問題」「自然保護」などを巡って目から10枚くらいのウロコが塊になって落ちたような衝撃を受けたが、なかでも「地球温暖化問題」のカラクリには驚愕した。
その中で、池田が最も読むことを奨めていたのが、この本、薬師院仁志『地球温暖化論への挑戦』だったので読んでみた。

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2006年7月 1日

福岡伸一『ロハスの思考』

Books_6

福岡伸一の本は、これまで2冊読んだことがあった。
2冊とも、「狂牛病」にかかわる読み応えのある本であり、科学者としてのスタンスが読者に信頼感を持たせてくれた。
なので、この本の著者が同じ福岡伸一となっているので、同姓同名の別人ではないか、と最初思ったくらいだ。
しかし、パラパラとページをめくってみると「BSE」のことも詳しく書いてあるので、同一人物であることを確信した。
それにしても、福岡伸一とロハスはどこでどう繋がるのだろう?

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2006年6月25日

山本義隆『磁力と重力の発見──2 ルネサンス』

Books_5

こんな難しそうな物理学史の本を、1年ほど前に買ったもののいつ読む気になるのか分からないままになっていた。
分厚くて、おまけに全3冊である。その第2冊目だけを、あるきっかけがあって読んだ。
実に面白く、スラスラと読んでしまった。

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2006年6月 7日

斎藤美奈子『文章読本さん江』

Books_4

このあいだ読んだ山口文憲『読ませる技術』が面白かったせいもあると思うが、書店の棚でこの本のタイトルを見たとき、思わずに手にとって読み始めてしまった。
帯の背表紙の惹句に「第一回小林秀雄賞受賞」という文字が並んでいたことにもつられたことは認めねばなるまい。
著者の本としては『物は言いよう』以来2冊目である。

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2006年6月 1日

池田清彦『環境問題のウソ』

Books_3

今年もまた、今日から「COOLBIZ」が始まった。「地球温暖化防止のためなら結構なことではないか」と、私も考えていたが、この本を読むと「もしかすると、騙されていたかもしれない」と思うようになった。
それどころか、京都議定書そのものが眉にツバをつけなければならないかもしれないのだ。
なぜなら、「温室効果ガス」は「地球温暖化」の主たる原因ではない、というのである。

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2006年5月 3日

山口文憲『読ませる技術──書きたいことを書く前に』

Books_2

この著者の本を読むのは2冊目。1冊目の『団塊ひとりぼっち』に感心したので読んでみた。
この本は、作家の関川夏央と二人で始めたコラム・エッセイの講座(朝日カルチャーセンター)が元になっているらしい。
したがって、「コラム・エッセイ」を書きたいと志して講座に参加しているひとたちに、「如何に書くか」というテーマで懇切丁寧にアドバイスしていく構成になっている。

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2006年4月23日

石川九楊『縦に書け!──横書きが日本人を壊している』

Books_1

『石川九楊の世界展』の会場を出ると、例によって関連グッズ(?)の特設売り場があり、中にはン万円もする著作が並んでいたが、とても手が出ないので、この本を買った。
タイトルを見ただけで九楊センセイの怒りが心頭に発しているのが分かる。

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2006年4月 6日

山口文憲『団塊ひとりぼっち』

Books

最近読んだ本のなかでは、とびっきりに面白かった。
何が面白いかをお伝えしようと思うのだが、これが結構難しい。
とりあえず、カバー裏のキャッチ・コピーを拝借すると、こうなる。
《戦後民主主義に学生運動、消費の申し子。これがマコトの団塊像か? 憎まれっ子世代の本質を実証的に語り、往時に思いを寄せ、生き方を模索する。抱腹、呻吟、落涙のエピソード満載。》

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2006年3月25日

藤原正彦『国家の品格』──(3)

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《どんな論理であれ、論理的に正しいからといってそれを徹底していくと、人間社会はほぼ必然的に破綻に至ります》という著者のあげる4つの理由を以前に紹介したが、「論理」に問題があるとはいっても、著者の「論理」のなかには「いくらなんでも雑過ぎるのではないか」と首を傾げるものもある。
その例をいくつかあげることにする。

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2006年3月23日

藤原正彦『国家の品格』──(2)「ナショナリズム」と「パトリオティズム」

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「愛国心」には2種類の考え方が流れ込んでいる、と著者は言う。
一つは「ナショナリズム」で、これは《他国のことはどうでもいいから、自国の国益のみを追求するという、あさましい態度》なので《戦争につながりやすい考え方》だという。
もう一つは英語でいう「パトリオティズム」に近く《祖国愛》と著者がよぶもので《自国の文化、伝統、情緒、自然、そういったものをこよなく愛すること》を意味し、《世界中の国民が絶対に持っているべきもの》だという。

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2006年3月11日

藤原正彦『国家の品格』──(1)

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ベストセラーとなった新書である。
数学者が書いた「憂国の書」とでも呼ぶのが、このタイトルにふさわしいかもしれない。
まったく同感で「異議ナシ !」と思ったところがいちばん多く、「なるほど、そういうことだったのか」と発見したり納得したところがそれに次ぎ、「それはちょっとどうかなー」と首を傾げたところがほんの少しあった。

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2006年2月19日

南伸坊『本人の人々』

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勢古浩爾があんまり絶賛するので(2006年1月30日号「勢古浩爾『ああ、顔文不一致』」)、読んでみた。
聞きしに勝る怪著であった。
あの特徴あるオニギリ顔の南伸坊が、どうやったって顔面模写なんて無理に決まっている…と、誰しも思うはずである。
ところが、どっこい、その予想は大きく外れることになる。
似ているのだ。

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2006年2月 2日

赤瀬川原平『目玉の学校』

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「ちくまプリマー新書」で読んだ3冊目である。
一応中高校生向けというコンセプトなので、書き方は平易であるが、内容はオトナが読んでも十分に読み応えがあるのは、前2冊と同様だ。
子ども時代の不思議体験から始まって、画学生のころの話や、「トマソン、路上観察、写真」の現在に至るまで「ものを見る」とはどういうことか、という問いかけにまつわる、画家ならではの「目からウロコ」の話である。

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2006年1月30日

勢古浩爾『ああ、顔文不一致』

books

タイトルからして人を喰っている。面白そうではないか。
帯巻きには、著名な6人の作家の名前と、著者の短いコメントがついている。(下の表紙写真を参照)
パラパラとページをめくってみると、この6人だけでなく、他にも8人の作家・評論家についてコメントしている。
《ごついのにやさしい重松清》《ベストギャップの町田康》《猫、といえば保坂和志》《文学界のイケメン石田衣良》《ますます煮詰まる村上龍》《「睥睨(へいげい)する」姜尚中》《現代の足柄山の金太郎・斎藤孝》《貞操帯を語らせたら植島啓司の右にでるものはいない》
合計14人である。これはもう読むしかあるまい。

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2006年1月14日

八柏龍紀『「感動」禁止!──「涙」を消費する人びと』

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なかなかに秀逸なネーミングである。
「感動をありがとう !」「勇気をもらいました !」「今年一番、泣ける映画です !」
こういう言葉がいつのころからか流行り始めて、辟易している一人である著者は、「感情」まで「消費」するしかなくなった現代社会を、「消費社会」というキーワードで読み解いていこうとする。

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2005年12月14日

エルネスト・チェ・ゲバラ『モーターサイクル・ダイアリーズ』

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映画の原作であるこの旅行日記を読んでいると、映画で観た南米大陸の風景がよみがえってくる。
この本に関する限り、映画を先に観ているほうが情景を鮮明に思い浮かべることができそうだ。
映画に出てきたシーンもたくさんあったが、映画には出てきたが、本にはない場面もたくさんあった。
恐らくは、この冒険旅行に関する別の資料や証言をもとに作られているに違いない。

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2005年11月20日

三浦展『下流社会──新たな階層集団の出現』

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書店の店頭では平積みされている、今話題の本である。
従って、期待して読んだのだが、残念ながら期待したほどではなかった。
どこか営業マンのプレゼンを見せられているような(そんな経験はないが)、退屈さを感じたと言っていい。
マーケティングという手法に伴う印象なのかもしれないが、「新しい発見」に出会うことがあまりなかった。

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2005年11月11日

森達也・森巣博『ご臨終メディア──質問しないマスコミと一人で考えない日本人』──(3)民度なるもの

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マイケル・ムーア監督の映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』で取り上げられたコロンパイン高校の生徒による銃乱射事件は、その4年前に公開された『バスケットボール・ダイアリーズ』という映画の中で、レオナルド・デカプリオの演じる高校生が黒いトレンチコートを着て教師を散弾銃で虐殺する「夢のシーン」を模倣した、「コピー・キャット(模倣犯)」であることを、内田樹『街場のアメリカ論』で知った。
「シリアル・キラー(連続殺人犯)」は、すべて「コピー・キャット」であるなどの興味深い分析などについては、改めて取り上げたいが、そのコロンパイン高校などで起きた銃乱射事件に関連して、この本(『ご臨終メディア』)で取り上げられている「少年法改正議論」のところに感心した一文があった。

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2005年10月28日

林信吾『これでもイギリスが好きですか?』

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同じ著者の『しのびよるネオ階級社会──"イギリス化"する日本の格差』が面白かったので、この本も読んでみた。
昨今の「イギリス・ブーム」なるものの実態を知らないので、「日本人ほどのイギリスびいきは世界中どこにもいない」と言われても、実のところピンとこない。(著者には『イギリス・シンドローム』という著書もあるらしいので、機会があればまた読んでみようとは思う。)
たぶん、「イギリス」に大した興味もないので、注意を払ってこなかっただけなのだろう。
私がこの本を読んで思い出したのは、昔読んだまったく別の本のことだった。

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2005年9月23日

林信吾・葛岡智恭『昔、革命的だったお父さんたちへ──「団塊世代」の登場と終焉』

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またまた団塊世代についての本を読んだ。これで3冊目である。
2007年に向けてここ当分はこの種の本が増えていくのだろう。面白い本があれば読んでみたいと思う。
今回取り上げる本の著者(たち)は、前回の『団塊世代を総括する』の著者と同じ1958年生まれである。(一人は1959年生まれ。共著の場合、章ごとに分担したのか、完全に共同で書いたのか、どこかに書いておいて欲しい。)

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2005年9月14日

三浦展『団塊世代を総括する』

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だいたいこういう類の本は読まない。読む前から結論が先にあるような気がするからだ。
それでもなぜか気になるので、思わず手に取ってパラパラとページを繰ってしまうことも多い。
この本もそうだった。平積みしてあったし、タイトルからして挑発的である。
「総括する」という言葉にも、一つの時代を象徴する記号としての意味が濃厚である。
しかし、意外と面白そうなので、珍しく買って読むこととなった。

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2005年9月 1日

海老坂武『サルトル──「人間」の思想の可能性』

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今年は、サルトル生誕100年にあたるようだ。
(因みに、日本では、映画監督の成瀬巳喜男 、民俗学者の宮本常一も同い年で生誕100年である。)
フランスでも、サルトル生誕100年に因んだ行事が、たくさん開催されているらしい。

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2005年8月14日

正高信男『考えないヒト──ケータイ依存で退化した日本人』

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帯巻きの紹介文から。
《通話、通信からデータの記憶、検索、イベントの予約まで、今や日常の煩わしい知的作業はケータイに委ねられている。IT化の極致ケータイこそ、進歩と快適さを追求してきた文明の象徴、ヒトはついに脳の外部化に成功したのだ。しかしそれによって実現したのは、思考力の衰退、家族の崩壊などの退化現象だった。出あるき人間、キレるヒトは、次世代人類ではないのか。霊長類研究の蓄積から生まれた画期的文明・文化論。》

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2005年7月31日

『カバー、おかけしますか?──本屋さんのブックカバー集』

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電車の中吊り広告に英会話スクールのものがあって、「ブックカバー」というのは和製英語で、正しくは何というか、というクイズになっていた。
正解も書いてあって、英語では「book jacket」もしくは「dust jacket」などというのが正しいのだそうだ。
だが、英語でいうこの「jacket」というのは、出版社がもともとの本にデザインの一部としてつけているもののことで、書店でかぶせてくれるカバーとは別物である。
なぜ「書店でくれるカバー」についての英語がないかというと、そういう習慣があるのは日本だけらしいのだ。

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2005年7月28日

山本七平『日本はなぜ敗れるのか──敗因21カ条』

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山本七平の本を書店で手にとってたまたま読んだ。
経団連の奥田会長がトヨタ幹部に「ぜひ読むように」と薦めた、と「腰巻き」の惹句に書いてあったので、ちょっとどーかと思ったのだが、ページを捲ってみると、この本の主題「敗因21カ条」の内容は。現在の日本外交や社会の在り方にも通じるものがありそうで、面白かったので読んでみた。

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2005年6月 6日

宮内勝典『焼身』

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あまり小説を読まない私にとって、宮内勝典という作者のことは何も知らない。
この400枚の文章を「小説」と読んでいいのかどうかもよく分からないが、しいて「小説」に分類するとすれば「私小説」ということなるのだろう。
だが、自らの身を焼くほどの思想を持った、名前も知らない「謎の僧侶X師」を追い求める旅は、ほとんどルポルタージュと呼んでよい筆致であり、追い求める「私」の過去と現在がそれに重なっていく。

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2005年5月20日

佐藤俊樹『桜が創った「日本」─ソメイヨシノ 起源への旅─』

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北海道で桜が開花した、というニュース(場所は聞きそこなったが、おそらく最北端に近い場所であろう)を知って、改めて日本が南北に細長い国であることを実感した。
この本のことを知ったのは、ちょうど西日本が桜の季節に、NHKの『視点・論点』という10分ほどの番組を見た時だった。
コメンテーターは井出孫六で、この本を紹介した上で、ソメイヨシノがクローンと知ってビックリした話から、子どもの頃、家の近くにあった靖国神社の境内で遊んだ話、予科練の記章の桜に憧れた話など、桜の季節になると「落ち着かない」という感想を述べていた。
ぼんやり観ていたので、あまり確かな記憶ではないが、およそそういう話をしていたように思う。
それで読んだこの本は、そのソメイヨシノの「起源」をめぐる、まるでミステリーを読むような面白さだった。

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2005年5月11日

青山南『ネットと戦争──9.11からのアメリカ文化』

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トラックバックしていただいたサイトの話題に「9.11」のことが取り上げられていたので、この本のことを思い出した。
本のカバー裏の紹介には、こう書かれている。
《 9・11以後、ネットの世界では、事件そのもの、テロとイラク戦争の意味、アメリカの存在自体をめぐって、作家、詩人、評論家、知識人たちの様々な意見があふれかえっている。本書は海外文化の潮流をネットで読むための知識と技術、想像力の勘所を伝授しつつ、戦時下ともいうべき深刻でやや滑稽なアメリカ文化の現在を描き出す。》

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2005年4月25日

斎藤美奈子『物は言いよう』

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「FC」という言葉をご存知だろうか。「フェミ・コード」という、著者の造語らしい。
本のカバーの裏に、こう定義してあった。
《エフ・シー【FC】(Femi Code)言動がセクハラや性差別にならないかどうかを検討するための基準。公(おおやけ)の場ではそれに相応しいマナー(作法)を身につけよう、との趣旨で考案された。フェミコード。「それって─的にどうよ。」→セクハラ》

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2005年3月14日

『アンベードカルの生涯』

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昨日から大相撲の大阪場所が始まった。
今年も、太田房江知事は女性であるという理由で、土俵に上がることを拒否され、男性の副知事が知事賞を渡すことになったようだ。
相撲協会が太田知事を土俵に上がらせない理由は、土俵は神聖な場所であり、「不浄」な女性を上がらせると「穢(けが)れる」という「伝統」があるかららしい。
そんな相撲協会に知事賞などやる必要はないのだ。

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2005年1月29日

『憎悪の宗教──ユダヤ・キリスト・イスラム教と「聖なる憎悪」』

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初詣は「神社」、結婚式は「教会」、葬式は「お寺」といった組み合わせも、大して気にしない多くの日本人にとっては、「篤い信仰」と聞いただけで胡散臭く感じるところがある。
サリンによる無差別殺人を実行する「宗教」や、日本の政治のキャスティング・ボートを握るまでになった「宗教」などを知ってしまった現在、ますますそう思う人々が増えているのではないか。
ましてや、他国の国民を、虫けらのように殺戮して恥じないジョージ・ブッシュが「敬虔なキリスト教徒」だということになると、もう何をかいわんやである。
しかし、定方晟のこの本を読むと、ブッシュは別に異端者ではなく「敬虔なキリスト教徒」だからこそ、平気で殺戮を繰り返せる理由がよく分かる。

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2005年1月19日

『希望格差社会──「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』

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著者の山田昌弘は、「パラサイト・シングル」の命名者でもあるらしく、(本の腰巻きの惹句で玄田有史が「脱帽」するように)ネーミングの巧さは秀逸といっていい。
本のタイトルを見ただけで、「まったくその通りだ」と思うほど内容を的確に表現している。

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2004年12月23日

魚住昭『野中広務 差別と権力』

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学校教育のなかで「差別」の問題は、避けて通ることのできないテーマだ。
「障害者」に対する差別、女性に対する差別、在日朝鮮人に対する差別、そして部落差別など、生徒たちの身近な問題として考える必要があり、学校教育のなかでこそ学ぶことのできる重要な課題にほかならない。
なぜ身近な問題かというと、現に「障害」を持つ生徒と小学校の時から机を並べて育っているからであり、生徒の半分は女性だからであり、在日の生徒たちはどこの小学校にも中学校にも在籍しているからであり、部落出身の生徒たちも在籍している(可能性がある)からである。

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2004年11月17日

中野不二男『デスクトップの技術』

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こういう種類の本(?)がお好きな方には分かっていただけると思うが、読者を満足させるのはなかなか難しいものだ。
あまりに個人的な趣味の領域に入り込んでしまうと、読んでいて面白くない。勝手にやってくれ、という感じになる。
かといって、個人的な工夫やアイディアのない本は、読んでいてもっと面白くない。
そこのところの微妙なバランス感覚が難しいのだろう。

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2004年10月 3日

『ダ・ヴィンチ・コード』

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ベストセラーなどにはあまり手を出さないのだが、故あってこの本は買って、一気に読んでしまった。
ミステリーを読むのも久し振りだったが、なかなか面白かった。
まず「つかみ」の殺人事件で、異様なダイング・メッセージが読者を離さなくなる。
最初から犯人とおぼしき人物が登場するので、一種の倒叙法で物語は進み、犯人捜しのミステリーではない。
むしろ、犯人とおぼしき人物の奇妙な背景や背後関係に、読者は引き込まれていくことになる。

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2004年8月18日

「全共闘運動」をめぐって

由紀草一『団塊の世代とは何だったのか』を読む──その(2)
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この本の序章に、『AERA』(1990年3月27日号)に出たという「団塊世代の八悪」というのが紹介されている。
面白いので、再引用させてもらう。

(1)過剰意義づけ これがないと動けない
(2)理論過多 周りにいるとうるさい
(3)押しつけ 自らの主張の行きつく先を押しつけたがる
(4)緩急不在 何事にも積極的だが、せっかちすぎる
(5)戦略不在 目先の戦術だけ強く、長期的ビジョンがない
(6)被害者意識 他世代への加害者意識はなく、もっぱら被害者意識ばかり
(7)指導力不足 過当競争の中でリーダーシップを忘れてきた
(8)無自覚 以上の点に全く気づいていない

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